日々徒然Highmount

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「TNGパトレイバー 首都決戦」を見てやはり消化不良……(ネタバレあり)

以前、「THE NEXT GENERATION パトレイバー」について、あまり好ましくない感想と印象を述べたのだが、その後長編作品である「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」をようやく見るに至った。

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 率直な感想としては、どうしても……消化不良と言わざるをえない。

TNGパトレイバーの世界が、劇場版パトレイバーの世界線*1の延長線上に存在する話で、柘植行人が起こした“幻の戦争”が起こった後、後藤喜一南雲しのぶが失踪した後の話である。

TNGパトレイバーの短編については、先の記事でも旧作の焼き直しであることに強い不満を述べたが、首都決戦は首都決戦で、やはり「機動警察パトレイバー2 the Movie」の焼き直しであった。
パトレイバー2は今でも好きな映画の一つに挙げる作品で、中学生の頃から何度となく見ており、当時は理解できなかった部分を後に改めて見直すことで、未だに好きといえる作品なのである。

今回の首謀者は柘植行人の教え子たち。そして、戦闘ヘリ操縦の腕を買われて参加している*2灰原零を名乗る女性自衛官
灰原はセリフもなく、AH-88J2改“グレイゴースト”に搭乗している間は口元しか見えないのであるから、あくまで謎めいた存在であるが、その少ない登場シーンでも、強いインパクトがあった。*3
しかし、灰原零なる女性は13歳で亡くなっており、この灰原は「亡くなったことにされた」灰原なのか、それとも「亡くなった灰原零を騙る者」なのかすらも結局わからず、どこかへ泳ぎ去るシーンで終わってしまう。

今回のテロ首謀者の目的は、あくまで“幻の戦争”を再演することにあり、それが達せられた時点で彼らの勝ちなのだろう。
しかしその目的と一致しているとは思えない灰原の行動は、結局何だったのかさっぱりわからない。

また特車二課がこの件に関わる動機があまりにも弱すぎる。
パトレイバー2の場合は、柘植が蜂起するまでの過程が丁寧に描かれていたからこそ、そして政治的デモンストレーションに過ぎなかった状況が、本当の戦争にすり替わったことで、柘植の身柄を押さえようとする荒川茂樹の動きがあったからこそ、二課が動かなければ後がないという説得力があったように思う。

しかし今回、荒川の役割を担った高畑はあくまで公安であって、首謀者の側にいた人間ではない。要は後藤田と同じ側からしか状況を見ていない。
先代隊長である後藤と南雲の存在をちらつかせるだけちらつかせて、結局そこに大きな意味もない。
どう好意的に考えてみたところで、特車二課が超法規的行動を取るだけの説得力がない。
イングラムもボロすぎてまともに動かない。とどめを刺したのは、どう考えても高畑のM60と、カーシャのAKによるものではないだろうか。

今回の見所は後藤田隊長の動きでも、高畑の動きでも、警視庁上層部の策動でもなく、カーシャのアクションだけだったなぁという思い。
カーシャ(エカテリーナ・クラチェヴナ・カヌカエヴァ)演じた太田莉菜*4もなかなか良い存在感を放っていた。
なんでも、まもなく公開の実写版テラフォーマーズにも出るらしいので、期待。
しかし、カーシャという呼び名、ロシアのくっそまずいらしいお粥料理の名前と同じらしく、なんかヒデェ呼び名だなぁと。

結局何も腑に落ちないままで終わってしまったのを見て、この一連の実写版パトレイバーは、金と時間をかけて“機動警察パトレイバー”を否定することこそが目的だったのではないかとすら思ってしまうのが本音。

 

*1:OVA、TV版〜新OVA、劇場版、コミック版はそれぞれ別の世界線であると認識している。

*2:どうやら首謀者たちと心情的な一致はないのだろう。

*3:森カンナという女優さんに興味が湧いてきた。

*4:松田龍平の嫁なのね