海上自衛隊、24DDHの名前が決まる。
本日昼、横浜のジャパンマリンユナイテッド磯子工場で、海上自衛隊のいずも型ヘリコプター搭載護衛艦2番艦の進水式が行われた。
進水に先立ち、命名式も行われるが、そこで2番艦の名前が「かが」になることが明らかとなった。*1
ちなみに、命名がなされるまで、「かが」は24DDH（ふたよんでぃーでぃーえいち）と呼ばれていた。
数字は計画年度（平成24年度）を示し、DDHは艦種「ヘリコプター搭載護衛艦」を示す。
正式には「平成24年度計画19,500トン型ヘリコプター搭載護衛艦」というらしい。
なお、1番艦「いずも」は、平成22年度計画であったため、命名までは22DDH（ふたふたでぃーでぃーえいち）と呼ばれていた。
全通甲板型ヘリ搭載護衛艦は、ひゅうが型から「日向」「伊勢」「出雲」と律令制における旧国名を採用しており、24DDHもこの慣例通り旧国名になるとみられていた。
当然その候補として「加賀」は取り沙汰されるのだが、この名前は旧大日本帝国海軍の正規空母・加賀を当然連想させる。*2
そのため、加賀は敢えて避けて別の国名になると思っていた。
信濃も大和型3番艦（途中で空母に設計変更）を想起させるし、その由来からするとあまり縁起のいい名前でもないので、これも避けられると思っていた。
ひゅうが型は航空戦艦・日向、航空戦艦・伊勢の名前を継承していることから、同じく旧国名を名前に持つ戦艦として、大和や長門が次の候補になるが、どちらも海軍を象徴する戦艦であることからこれも避けられるだろう。
となると、ひゅうが型といずも型がいずれも*3天皇家に縁のある名前になったことから、「やましろ」になるのではないかと思っていた。
言うまでもなく畿内の律令国・山城と、戦艦・山城のダブルミーニングである。
しかし蓋を開けてみると、まさかの「かが」だった。いやぁ、正直驚いた。*4
ただでさえ1番艦いずもは、中国や韓国から空母とつつかれ*5、「ひゅうが」や「いせ」、そしておおすみ型も同じようにつつかれた。
そこに敢えて空母の名前にも用いられた「加賀」を持ってきたのが素直に驚きだった。
むしろ「知るかボケ！くだらねーイチャモンつけんじゃねえぞ！！」という意思表示なのかもしれない。*6
実際、「航空母艦・加賀」の名前を継承することに懸念を示すニュースも複数あるようだ。
なんせ加賀は上海事変、日中戦争、真珠湾攻撃で活躍し、あのミッドウェー海戦で轟沈するまで、航空母艦・赤城とともに文字通り第一航空戦隊（一航戦）の翼を支えた空母である。
当然中国や韓国あたりは、「いずも」の比にならないくらいつつきに来ると思う。
しかしそこはそれ、これまでは避けるだろうなと思われるような名前を持ってくる事ができることが証明されたわけで、これは素直に喜んでいいと思っている。
実際、「いずも」の命名の時は「ながと」と命名されることが検討されたが、見送られたという経緯もあった。
ひょっとすると、数年後に進水する今年度計画のミサイル護衛艦（あたご型イージス護衛艦3番艦）に「あかぎ」という名前がつくかもしれない。
将来的には「ながと」「やまと」「むさし」という名前を冠する護衛艦が誕生するかもしれない。
周辺国の顔色をうかがって、護衛艦の名前を決めるというナンセンスが消え去るのもそう遠くないこと……であるといいんだが。
さて「かが」は進水はしたが、これから艤装工事と公試が待っており、しらね型護衛艦「くらま」を置き換えるために就役するのは再来年の3月。
今年就役した「いずも」は同日退役した「しらね」を置き換えたわけだが、直接入れ替えになったのではなく、第1護衛隊群第1護衛隊に「いずも」を配備、それまで第1護衛隊に配備されていた「ひゅうが」を第3護衛隊群第3護衛隊の「しらね」の後継として転属させている。
このため「かが」就役の際は第4護衛隊群第4護衛隊の「いせ」を第2護衛隊群第2護衛隊に転属させ、退役する「くらま」の後継艦とし、第4護衛隊へ「かが」を配備することになると思われる。
少し前に訪問した佐世保に、あきづき型やイージス艦に並んで、ひゅうが型（いせ）の姿を見る日もさほど遠くない。
なにはともあれ、護衛艦「かが」の誕生、あるいは約70年ぶりの「加賀」復活を言祝ぎたい。
