日々徒然Highmount

Highmountが感じたこと、興味をもったこと、やってみたこと、ひたすら書き込んでみる。

昼ドラ「新・牡丹と薔薇」が全方面にぶっ飛んでて面白い。

フジテレビ系列の昼ドラ枠*1は、どうやら2015年冬期をもって終了してしまうらしい。
本来なら制作を行っている東海テレビから発表されそうなものだが、フジテレビの亀山社長がフライング発表してしまったもんだから、なんかややこしいことになってしまった。

その最後を飾る作品が、「新・牡丹と薔薇」だというから驚いた。
牡丹と薔薇といえば、大河内奈々子小沢真珠がドロドロの愛憎劇を演じきり、小沢真珠の出世作にもなった作品。
私もボタバラファンのひとりであり、毎日録画して就寝前にハラハラしながら見守ったものである。

そんな作品をリブートするというのだからそれだけでも楽しみなのだが、主演が「秘密のケンミンSHOW」の転勤ドラマではるみさんを演じる黛英里佳だというではないか。
既に転勤ドラマで入浴シーンは何度もやっているが、それ以上の濡れ場が……などというスケベ心ではなく*2、純粋に大河内奈々子が演じたぼたん役に相当する役柄をどう演じるのかが非常に楽しみだったわけで。
ちなみに黛さんは連ドラ初主演。ケンミンSHOWの転勤ドラマはやはり連ドラ扱いではなかった。*3

ダブル主演の小沢真珠演じた香世に相当する役を演じるのが逢沢りな。存じあげなかったが、グラビアアイドルで、ゴーオンジャーに出てたらしい。*4
知らないので検索したら、AV女優の相澤りなが出てきて非常に気まずい思いをしたのはここだけの話。

結構期待をふくらませながら、放送開始を迎えたが、第1話から色んな意味でぶっ飛んでいた。

(以後、12月18日放送分までの部分でちょいネタバレするので注意)

 

 

第1話、美山加恋演じる眞澄がいきなり妊娠。

産婦人科に居たのは、西村和彦大河内奈々子小沢真珠……って旧ボタバラやないか!!
しかも、大河内奈々子小沢真珠、役名が旧作と同じ三上(三上ぼたん)と野島(野島香世)だというから笑わせてもらった。
しかし西村和彦は清原先生ではなくて、稲垣先生でした……
おまけに、眞澄を妊娠させたあと事故で亡くなった男の母親が川上麻衣子……って旧ボタバラやないか!!(二度目)
更に、眞澄の実の父親である大物歌舞伎役者が佐藤仁哉……って旧ボタバラやないか!!(三度目)*5

という具合に、旧作と引っ掛けたのはこれだけにとどまらず、牡丹と薔薇の絵画とか、中村彰一の癖の強い声で歌い上げられる挿入歌「牡丹と薔薇」も引き継がれるという、旧作ファンならツッコミどころにあふれた作品だったり。*6

芝居が臭いのは牡丹と薔薇の伝統であるからいいとして、岡田浩暉演じる小日向崑一の演技の浮きっぷりが半端じゃなくて笑える。そしてそれをぶっちぎる怪演を見せる、鰐淵晴子演じる、崑一の母カオルコ……

もうここまで書いていてお腹いっぱい感で、これ以上は胸焼けがしそうなくらいに濃いのだが、小日向家の娘、ぼたんと美輪子が成長してからがまた……
美山加恋演じた眞澄の十数年後が伊藤かずえという、時の無常を感じずにはいられない配役は横に置くとしても……*7

超絶カマトトシスコンなぼたん(黛英里佳)に対して、奔放というか天真爛漫な美輪子(逢沢りな)。
異様に濃かったカオルコ婆さんは既に亡くなり、墓参りに来た外人墓地で、家族は墓守の吉田多摩留(たまる)に出会い、多摩留は美輪子に恋をする。
その後再会した多摩留と美輪子は恋に落ちるが、超絶カマトトシスコンなぼたんお姉ちゃま*8が猛烈に反対。
美輪子がキスをしたというだけで尋常じゃなく取り乱す……そして美輪子がついに一線を越えてしまってからは発狂寸前にはなるわ、「このサカリのついたメスネコ!!」とか、旧作の小沢真珠ばりの暴言を。
あれ、今作は牡丹と薔薇の役割が逆転するの?

と思ったら、多摩留は久々に会えた美輪子を外人墓地の管理人室で欲望に任せて押し倒し、これがきっかけで美輪子が急速に冷めていく。*9

関係を絶とうとする美輪子や小日向家の態度に対して、多摩留が見事ストーカーにクラスチェンジ。
ストーカー行為が親バレし、警察からストーカー規制法に基づく警告を受けるも、ストーカー行為はやまず、ついに美輪子殺害を決意。

フィアンセとベッドインしながら途中で拒否して逃げてきた超絶カマトトシスコンのぼたん、多摩留の殺意を知って、なぜか多摩留に自分の処女を捧げ……行為が終わった後はぼたんじゃなくて多摩留が号泣……ってもうこの辺で常人の理解をあさっての方向に超えてしまってるだろ。
それでも止まない多摩留の殺意*10……小日向家の屋敷に侵入し、美輪子を殺そうとするが、止めに入ったぼたんを刺殺してしまい、遺体と屋敷に火をかけ、多摩留も焼死。

ここまでで、眞澄が最初に妊娠して養子に出した子がぼたん(養子に出した先が偶然にも小日向家で、眞澄はその小日向家に後妻として嫁いだ)という思考誘導がされていたが、多摩留初登場のシーンで、眞澄が子供の父親から貰い、養子に出す娘・富貴子に託した小さな万華鏡を多摩留が持っているという、そこまでの前提に疑問を持たせるシーンも差し込まれていて、更に多摩留が殺害計画を実行する直前、実家に電話をかけてきた、渡米している多摩留の姉の名前が「富貴子」であることが明らかに。
更に音質が悪くよく聞き取れないが、その声は黛英里佳の声だったりする。

ぼたん死亡というまさかのオチの直後、2年後のシーンに飛び、小日向家跡地の前に立ったのは、ヅラを取ったはるみさんアメリカから戻った富貴子(黛英里佳・二役)だった。
二役かい!!というツッコミとともに、ここまでの伏線に対する疑問が一気に解消する二段オチだったのである。

要は、眞澄の最初の子・富貴子が貰われた先が吉田家(多摩留の家)で、ぼたんは正真正銘、マダム・ヨナこと崑一の前妻である世奈子と崑一の間に生まれた、眞澄(伊藤かずえ)とは血縁上赤の他人だったというわけで。
思わぬところから実の娘が現れる、しかも実の娘だと思っていたぼたんに瓜二つという眞澄の苦悩と、ぼたんをぶっ殺したクソ野郎の姉が殺されたぼたんに瓜二つ、しかもそれが血縁上実の姉という苦悩を背負うことになる美輪子、というのが今後の筋の根幹になるのだろう。*11

全方向にぶっ飛んだ展開が面白い本作だが、筋立ては旧作にも匹敵するレベルでうまいなと思う。
近年不作だらけの国内ドラマだが、これは昼ドラ終焉という事実に渾身の一撃を食らわせようと、東海テレビドラマ班が全力を出したのではないかと思わせる出来だと感じている。

心配なのが、ここまでの展開でエネルギーを使いきって、今後の富貴子・美輪子・眞澄の話が凡庸になってしまわないかということ。
美輪子には小沢真珠ばりの癖の強い演技……はどこまで期待できるかはわからないが、せめてあの強烈なセリフの数々には期待したい。

今後の展開に大いに期待したいとともに、このドラマの感想を水沢駿さんに聞いてみたいと思ってしまうのは野暮というものだろうか。*12

 

*1:東海テレビが制作を行っている。

*2:まあ、ゼロとは言いませんが……

*3:最近あまり転勤ドラマをやらないのは、ネタ切れなのか、それとも黛さんが新・牡丹と薔薇で忙しいからなのか……

*4:戦隊もの見ないから知らないんだよね。

*5:佐藤仁哉さんは旧ボタバラでは香世の祖父、北原佐和子演じる野島富貴子の父で、ぼたんと香世の実父である豊樹の義父という役柄だった。

*6:残念ながら「涙のアリア」を歌うのは岡本知高ではなく、サラ・オレイン。

*7:伊藤かずえさんはいい女優さんですよ。十数年後にしては老けすぎじゃねーか?とは思ったけど。

*8:ぼたんは美輪子から「ぼたん」か「お姉ちゃま」と呼ばれている。

*9:まあ、あの状況はオッサンの目から見ても引くわ……

*10:おまえ「姉妹丼」までキメてるんだから諦めろや!

*11:美輪子から見れば、ぼたんも富貴子も半分ずつ血が繋がってる、どっちも実の姉というのが余計に……

*12:ケンミンSHOWの転勤ドラマでは、東 京一郎役として、黛さんとのキスシーンをいつも邪魔される、という背景は今更説明不要だろう。