日々徒然Highmount

Highmountが感じたこと、興味をもったこと、やってみたこと、ひたすら書き込んでみる。

シャーロット……

先日、英国王室のケンブリッジ公イリアム王子の第二子として、シャーロット・エリザベス・ダイアナ・オブ・ケンブリッジ王女が誕生された。
早速世界中大騒ぎなのはここで殊更取り上げるようなことではないと思う。

それから数日後、大分県高崎山自然動物園で、ニホンザルの赤ちゃんが生まれた。
赤ちゃんザルの名前には、公募で多数の投票があった名前を選んでいるとのことだが、今回は「シャーロット」という名前が選ばれた。
公募は3月頃から行われていたそうで、シャーロットという名前は王女の誕生以前から(おそらくは朝ドラ「マッサン」のヒロイン役の女優にあやかって)投票されていたようであるが、シャーロット王女誕生の後、おそらく正確には王女の名前が決まったという報道の後から、票が伸びたのだそうで。

猿の赤ちゃんの名前がシャーロットになった、という話を家族から聞いた時、私は思わず苦笑いを浮かべてしまった。
世紀のプリンセスと仔猿が同じ名前である可笑しさと、多分イチャモンを付ける輩が出てくるだろうなという思いからである。
それを聞いて数時間後、案の定、高崎山には抗議が寄せられたようで、早速ニュースになっていた。
おそらくは改名ということで幕引きとなるだろう。

www.takasakiyama.jp

正直、どっちの言い分もすごくよくわかるんだよなあ。

 「英国王室のプリンセスと仔猿の名前が同じとは不敬である!」という意見もわかるし、「王女への親愛の情からのことだし、そもそもシャーロット・ケイト・フォックスから取ってるし!」という意見もあることだろうと思う。

どっちの言いたいこともわかるし、どっちの言いたいことも必ずしも間違っているとは思わないんだけど……
日本人が天皇陛下に敬意を払うのと同様に、諸外国の王室などにも敬意を払うべきであって、その尊厳を侵すべからずという意見にはまったくもって同意するんだけど、今回の話はそうした尊厳とは違う次元で起きている騒動のように感じられてならない。

少なくとも言えることは、王女誕生後にシャーロットという名前に投票した人、この名前に決定しちゃった高崎山の関係者の皆さん、多分もう少し想像力を働かせていたら、こういう事態は起こってなかったんじゃないかなってこと。
英国王室への尊厳を侵したと文句を言う人が出てきちゃうのは予想できる話なわけだし。
そして、抗議してる人たちも、シャーロット・ケイト・フォックスという女優の存在、彼女が出演したドラマがつい先日までブームだったことなど、諸々の状況にもう少し想像力を働かせていたら、そこまで怒るようなことではないと気が付きそうなものだけど。

どこぞの侮蔑的意思しか感じ取れないような下劣な風刺画のように、王女を猿と罵る意図で仔猿にシャーロット・エリザベス・ダイアナと名付けたのだとしたら、それは当然日本国民は全力で覆させなきゃいけないと思うんだけどもね。そうじゃないでしょ、少なくとも今回は。

敢えて穿ったことを言うのなら、シャーロットという名前に対して「王女に原子力潜水艦の名前を付けるなんて!」と言ってる人はいないようだし、高崎山のサルの名前にしても「キヅナ(2011年生まれ)なんて名前は震災復興の気持ちを踏みにじってる!」なんて言った人はいなかったと思うし、その前年のクロマグロにしたって「ワシントン条約を冒涜している」なんて言った人はいなかったのでは?
過剰反応とまでは言わないけど、ちょっと今回はセンシティブになりすぎなのでは?とは感じるし、今回の騒動に対してはなんとなく世知辛いものを感じるというのが正直な思い。
それ以前に、それを言い始めたら、外国語の名前でその辺を追求し始めたら、シャーロット以外でもすごくめんどくさいことになるんじゃないかなあと思ったりするわけで。
もっと凄いところに凄い名前を使ってる事例なんて、いくらでもありそうだから。

とりあえず今回はまだ、英国王室サイドからお怒りのコメントが出てるわけでもないし、英国大使館などの英国政府サイドが待ったをかけたわけでもない状況での空回り的な騒動なので、余計になんだかなという思いもつきまとう。
諸々考えてみると、やっぱり苦笑いしか浮かんでこない。

改名やむなしという方向にはなるだろうから、フランス語風にシャルロットとしたり、ドイツ語風にシャルロッテとしたり、シャルロッテの愛称であるロッテとするのもありかもしれないよね(ロッテは大人の事情でちょっと難しいかもしれないけど)

本当に世知辛い世の中だよなあ。