日々徒然Highmount

Highmountが感じたこと、興味をもったこと、やってみたこと、ひたすら書き込んでみる。

「28日後...」と「28週後...」を見てみた。【28日後...編】(ネタバレ注意)

ホラー映画、というかゾンビ系映画で一度見たいと思っていた2作品、Amazonプライムビデオで配信されているので、早速見てみた。

最近のゾンビ系映画はゾンビが緩慢な動きをするという古典スタイルを捨て、全速力で走ってくるのがポピュラーになってきているが、この作品に出てくる連中もやたら元気で殺る気満々で襲い掛かってくる。*1

ゾンビを打ち倒していくよりも、絶望的状況からいかに脱出していくかという逃避行のほうに重きを置く作品も多く、今回の「28日後...」と「28週後...」はそれらが半々といったところか。

(以下ネタバレ注意)

 

 

まず「28日後...」は、冒頭に今回蔓延するレイジウイルスが世にでるきっかけが描かれる。
霊長類研究所に侵入した動物愛護団体のメンバーは、狭いケージに押し込められた猿や、拘束され暴力映像を見続けることを強いられる猿を発見する。
解放しようとしたところで、研究員に見つかるが、研究員は「みんな感染している」と制止するが、それを振りきってケージを開けると……

レイジウイルスは血液や唾液に含まれるため、感染者から噛みつかれたり、感染者の血や唾液が粘膜に触れることで即座に感染。感染後数十秒というスピードで脳に侵入、精神を破壊して凶暴性(レイジ)だけが残る、というとんでもないウイルス。
疫学的にいろいろおかしいとか言っていたら、この手の映画を楽しむことはできない。

導入部が親切な描き方なので、此処から先のストーリーは割とすんなり入ることが出来るだろう。

それから28日後、病院のベッドで、メッセンジャーのジムが目覚める。
なんでもジムは仕事中に事故に遭って、そのままこの日まで眠り続けていたらしい。
これまで昏睡状態だった人間が、いきなりこんなに歩けるの?というツッコミは忘れよう。

誰もいないロンドンの街、この辺の空気感は「アイ・アム・レジェンド」にも似ている。
やっと人を見つけたと思ったら、それは感染者。ジムはわけがわからないまま襲われ、マークとセリーナに助けられる。
翌日、実家に戻ったジムは、両親が服毒自殺しているのを発見。その夜、感染者の襲撃でマークが感染、発症する前にセリーナにぶっ殺される……マーク、良い奴なのに出番短かったなぁ。

その後、フランクとハンナの親子と合流、軍人がいるという場所へ確証もなく移動という、かなり危険なフラグを立ててくれるが、その道行きはロードムービー感あふれる流れで、変な面白さがある。

その後軍人の拠点に辿り着くが、そこは無人。絶望したフランクの目に、感染者の遺体から垂れた血液……ここにきてフランク感染か!
ハンナの目の前で、ジムがフランクを撲殺するのかと思いきや、潜んでいた軍人によって射殺されるフランク。

軍人の拠点は少し離れた場所にある洋館。
フランクが発症するまで出てこなかったあたりで嫌な予感がしたが、いきなりダメ軍人感が半端ないシーンが続く。
まあ、感染した仲間を鎖に繋いで観察してる時点で、かなりまともじゃないが、感染者が襲ってくるシーンでも、無駄弾を撃ちまくり、射殺を楽しんでいるあたりからして、ああ、もうこいつらぶっ壊れてるなと思わされる。
しかしまぁ、今作品のL85は随分と信頼性が高いこと。ジャムったり、ファイアリングピンが折れたり、マガジンが脱落したり、ハンドガードが割れたりしないんだもんなぁ。

違う意味でぶっ壊れてるのかと思ってた軍曹が実は割とまともな倫理観は残っていて、分隊をまとめるためとはいえ、女のカラダを餌に統率しようとした少佐や、女を抱くことを希望に戦い続けている野郎どもには同情の余地はあるものの、まあ共感はできんわな。
で、セリーナとハンナはその餌にされ、反抗した軍曹とジムは処刑……という流れだが、相手がダメ軍人だったのが幸いしたのか、軍曹は射殺されたものの、ジムは打出に成功。
外から襲いかかる感染者が外に誘い出された分隊を襲うシーンや、鎖に繋がれていた感染者を解き放って軍人たちを襲わせるシーンは、因果応報とはいえエグいよなぁ。

途中、向精神薬でラリってるハンナがかなりヤバい感じになっていたが、なんとか脱出……かと思いきや、少佐に撃たれるジム。
さっきまでラリってたハンナが絶妙なドラテクで、後席の少佐を鎖に繋がれてた感染者に襲わせるというのは、この登場人物の中で、実はハンナが一番エグい人なのかもしれないと思わないではない。
ここに登場する人物は、すべて怪物と戦い続けて生き残ったスーパーマンなどではなく、皆弱さを抱えているただの人であるのが、様々な場面を際立たせる。

実はこの作品、エンディングが2つ用意されていて、一つは正規のエンディングである、撃たれたジムは助かって、片田舎で救助を待つというもの。
随分と取ってつけた感があるエンディングだなぁと思っていたが、もう一つのエンディングが先に用意されたもののようで、ジムは亡くなってしまい、セリーナとハンナが悲壮な表情で病院を去るというもの。
病院のベッドで目覚めたジムが、病院のベッドの上で死ぬというのは、悪いエンディングではないと思うんだけどなぁ。

 

さてさて、この作品、低予算映画なのは言うまでもないんだけど、その割に出演者が結構豪華だと思う。
主役のジム役であるキリアン・マーフィーは、「バットマン」シリーズのジョナサン・クレイン(スケアクロウ)役でおなじみ。
一応ヒロイン?のセリーナ役、ナオミ・ハリスも、パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズのティア・ダルマ役や、007のイヴ・マニーペニー役でもおなじみ。
少佐役のクリストファー・エクルストンは、BBCのテレビドラマ「ドクター・フー」の9代目ドクター*2役。

思っていたより面白い作品で、見てよかったと思う。
で、「28週後...」も当然期待するんだけど……(以下「28週後...」編に続く)

 

*1:ここでは便宜上「ゾンビ」と一括りにしておく。

*2:新シリーズのシーズン1のみ出演。NHK-BS2で放送されていたので知ってる人も多いのでは?