日々徒然Highmount

Highmountが感じたこと、興味をもったこと、やってみたこと、ひたすら書き込んでみる。

「図書館戦争 THE LAST MISSION」を見に行ってきた

金曜日の退社後、久々に映画を見に行くことにした。
仕事柄、夜中だろうが休日だろうが急に呼び出しを食らうこともあるので、ここ数年はあまり映画館に足を運んでなかったんだけど。

今回は「図書館戦争 THE LAST MISSION」
映画公開前に、前作「図書館戦争」とスペシャルドラマが地上波放送されていて、前作を劇場に見に行けず、そのままDVDでも見ていなかったのもあって、ようやく見ることが出来た、という思いだったんだけど、ここで結構ハマった。

その後フジテレビのノイタミナ枠でやっていたアニメ版もdアニメストアで一気に見てしまい、映像作品ヘビロテの締めという感じで見に行くこととなった。

www.kazu-log.com

ネタバレを含むけど良レビューと思ったので、こちらの記事も合わせて読まれることを強くおすすめする。ここで書く感想なんかよりずっと良質だから。

 アニメ版を見てるので、「どうせ堂上、最後はデレるんだろ?」と思って臨んだけど……*1

原作でいうところの図書館危機、笠原への査問や県展警備のあたりがメインの筋となる。

アニメ版の手塚慧(手塚兄)は爬虫類的な不気味さもあっていいキャラメイクだなと思っていたが、実写版の松坂桃李演じる手塚兄は良くも悪くも人間的だったなぁという印象。
原作での手塚兄をまだ見ていないので、どっちがいいのかは判断を保留。

その弟である手塚光は、アニメ版では出演シーンが多いもののあまり印象深いキャラでもないのに対して、実写版の福士蒼汰演じる手塚は結構印象に残るキャラクターになっていたのが驚き。
そういえば実写版でのこの兄弟、かたやシンケンジャー、かたや仮面ライダー……そういう家系なのか?

主役である笠原郁、アニメ版では最初は本当に猿を見ているような愉快さがあるが、だんだん女性としてかわいく見えてくるのが妙に不思議な感覚で、印象深いキャラクターだった。
一方、実写版の榮倉奈々演じる笠原、最初はどうにも「女の子」すぎる笠原に激しい違和感があった。
背が高くて脚綺麗で*2スレンダーな女性というイメージには、確かに榮倉奈々は適役といえるが、どうにも顔立ちや立ち振舞が女の子すぎるように思うのだ。
しかしまあ、これもTHE LAST MISSIONでは奏功し、中盤以降バッチリはまるのだから驚いた。

そして堂上篤、図書館戦争でどのキャラが一番好きかと言われると迷わず堂上を挙げるが、岡田准一演じる実写版の堂上が想像以上にしっくりくるのである。
アニメ版の堂上のキャラメイクも悪くはない。しかし、岡田准一、ここまではまるかという驚きとともに、彼の演技の癖がいい具合にフィットしたんだろうなと思う一方、今回は「ぶっさん返り」と呼んでいる、木更津キャッツアイで彼が演じた『ぶっさん』を思い出させるような演技はあまりなかったように感じられるのがよかったと本当に思う。
いや正直、大河ドラマでも黒田官兵衛の若い頃の演技ではちょいちょい「ぶっさん返り」していたので、これはこの人が感情を爆発させると多かれ少なかれ出る癖なのかなと思うようにはしているんだけど。
唯一難があるとすれば、笠原が入隊を決意する動機となる「王子様」のエピソードのシーンで、堂上の後ろ姿を見ると、岡田准一独特のやや前屈みな“のそっとした”歩き方のため、あれに憧れる笠原って……という視覚的疑問を持ってしまうところくらいか。*3
普段の堂上としては、あの歩き方で全然問題ないし、あの歩き方のほうが雰囲気は出るんだけど。

ぶっさn……もとい、堂上と笠原のシーンで一つだけ言いたい。
とあるシーン、堂上が笠原に対して思わず「……デカいな」とつぶやく。
見せ場のシーンの一つにこれをぶっ込んできた英断に拍手したい。

柴崎は、実写版では栗山千明以外に誰がやるんだと思う。それ以上言い添えることはない。
アニメ版の柴崎も悪くはないが、ルパン三世峰不二子が代替わりして中の人が同じになったせいで、変に被るのが残念といえば残念。
玄田隊長、橋本じゅん木更津キャッツアイワールドシリーズのゾンビ長役とか、エリートヤンキー三郎の石井役とか、変な役ばかり思い出すせいもあるが、『喧嘩屋中年』玄田竜助とはなんとなくイメージが違う。
アニメ版のほうがその意味ではしっくりくるけど、あれはあれでステレオタイプすぎるよなあとも思ったり。

原作およびアニメ版では、関東図書基地司令は稲嶺であるが、実写版では稲嶺(児玉清)は日野図書館の館長であり、日野の悪夢の際に亡くなっていることになっている。
それに伴い、稲嶺の部下として仁科(石坂浩二)というキャラが生み出されており、脚を失ったのも、図書隊を設立したのも稲嶺ではなく仁科ということになった。
日野の悪夢で亡くなった人物と、図書隊を設立した人物が、原作及びアニメ版と実写版とでは決定的に違い、動機的な部分は大きく変わってしまっていると思う。
このため稲嶺の妻の話が実写版ではあまり(まったく?)出てこないため、カミツレの由来の話が弱くなってしまったように思っている。
これは原作者自ら稲嶺はこの人しかあり得ないと言う児玉清さんが亡くなったため、やむを得ない措置だったとのことだが、これが理由で図書館革命の実写映像化は出来ないのでは?と思っている。(故に今回がTHE LAST MISSIONなのだと思う)*4
また同時に、アニメ版ではやっていた「教官と同じカミツレを取る!」という笠原の宣言まわりがごっそりなくなってしまったのも、カミツレにまつわるエピソードを削った影響なのかもしれないと思ったり。
カミツレは堂上と笠原の関係にも深く影響するツールであるから、ここの由来をいじってしまったがために、いろいろストレートにいかなくなってしまったのかもしれない。
さて、稲嶺のパーソナリティをある程度引き継いだ存在である仁科であるが、児玉清さんをイメージして作られた稲嶺というパーソナリティが、石坂浩二さんに乗り移れるのかというと、どうにも難しいように思うが、石坂さんなりの仁科司令というキャラの構築そのものには成功しているのではないだろうか。

そういえば、土屋太鳳、もう少し出してやれよ。
ドラマ版では準主役だったけど、明らかにそのついでに撮ったワンシーンって感じで、ちょっと気の毒な出方だった。*5
とはいえ、アニメ版の地上波未放送回を除いてしまうと、毬江ちゃんって劇場版でワンシーンしか出てこないから、それよりはマシか。

と、「キャラ読み」を一通り終わらせたところで……

良化隊と図書隊の戦闘はこの作品の見せ場の一つには違いない。
しかしこのシーン、THE LAST MISSIONにおいては特に、私はあまり気持ちよく見ることは出来なかった。
日本人が同じ日本人に対して銃を向けることがどれだけ悲しいことか、擬似的にではあるが痛感させられる。

なのでこのシーンはそのへんを極力忘れることにして見ようと思っているが、そのせいでミリタリー的視点で見てしまうきらいがある。
図書隊の装備は概ね陸上自衛隊の装備に準じているが、総じて9mm機関拳銃の配備率が高い。
原作では64式小銃は新人教育の時くらいにしか使っておらず、弾薬供給も既に終わっている旨の記述があるが、後継である89式小銃もあまり配備数が多くないように見える。
これは図書隊が弱装弾を用いているという設定に起因するのか、それとも89式では貫通力が高すぎるということなのか。*6
9mm機関拳銃陸自では既に配備打ち切りになっており、あまり評判もよろしくない装備であるようだから、舞台設定上は自衛隊では別のサブマシンガンに更新してごっそりとお下がりが図書隊に流れているのかもしれない。*7
なにはともあれ、9mm機関拳銃がこれほどたくさん出てくる映像作品って、他に知らないなあ。
あれだけの9mm機関拳銃のプロップガンを用意するのは大変だろうから、映像上パッと見わからないところではmini UZIとかイングラムとかを使ってても驚かない。

まあ、いろいろと思うところはあるけど、面白かった。
劇場からの帰り、その足で本屋に行って原作4巻一気買いして、ヘビロテ第二幕に突入することになっているので*8、作品設定等の云々は別の機会に取っておきたい。

*1:まあ、前作劇場版とドラマ版でも微デレだったし。

*2:かなり以前から「演技力はともかく脚は綺麗」と評価していたことをここに白状する。

*3:あれって笠原によってある程度美化されてても不思議じゃないシーンなので尚更。

*4:実写化するとすれば、かなりあちこち筋をいじる羽目になると思うが……

*5:あのドラマ自体、映画と並行して撮影したのかもしれないが……

*6:その割には狙撃銃であるM24が大活躍だけどね。

*7:64式も自衛隊のお下がりであると原作にしっかり明記されてたし。

*8:ちゃんと読み始められるのは今度の大阪出張の移動中だろうか。